アンソロジーの主催をやった話。
自分で作ればいい。
そう思う。
何かって、同人のアンソロジーの話だ。
昔、とあるジャンルのカップリングのアンソロジーを出したことがある。自分が主催だ。
アンソロジーのいいところは、主催が全部物事を決められる事だ。
誘う人だって、どんなテーマにするかだって、ノベルティーだって本の仕様(装丁とも言う)だって、何だって自由だ。主催は本当に楽しい。自分の好きなカップリングを、自分の憧れの作家さんに描いてもらえる。
こんな幸せが詰まった、自分に優しい本があるだろうか。いやない。
だが、ある。私が作ったからだ。楽しい。とても楽しい。
そんなある日、一通のメールが来た。
.AB(今回自分が出したカップリング)アンソロジーなのに、どうして普段ABを描いていない人や別CPの人を誘ったのか
.身内やフォロワーが多い人を誘って、そんな人たちのABアンソロを出して楽しいか
.不快なのでやめてください(要約)
知るか〜。
つーか楽しいわ。楽しくないわけないだろ。
私が主催だ。私が全部決める。やめない。
何故かって、君のために作った、企画したアンソロジーじゃないからだ。
全部、自分のためだ。
自分の好きなカップリングを、自分の憧れの作家さん、フォロワーさんに描いてもらえるんだぞ?そんなの、一番見たいのは自分だ。
自分が読みたいのだ。
アンソロジーを作るのは並大抵の事ではない。
ただ提出される作品をまとめるだけではないし、(形式的な主催だったらあるかもしれないが)
原稿の概要、いろいろなスケジュール管理、執筆者さん一人一人への対応、金銭の計算、イベント当日の頒布方法やそのあとの書店委託や通販の手配に至るまで、本当に大変なのだ。これは主催をやったことがある人にしか分からない。絶対に。
そんな、数ヶ月にも渡る努力や疲れる思いをして、尚且つ少なくない金額が発生する企画を、自分に何のメリットが無いのにやる奴がいるか?
少なくとも私は違う。自分が欲しいから作る。
この人に描いて欲しいから、という理由で誘ったし、執筆者さんも、「自分で本を出したりするのはハードルが高かったけど、アンソロならやってみたい。誘ってくれて嬉しい。」と言って快諾してくれた神のような人達ばかりだ。というか神だ。
そんな神が集った神アンソロを、なんだ。
「不快です。」だと?
本気で言っているのか?まあ本気なんだろう。
ここに書いてあるメールは要約でしかない。本当の文章はもっと恨みつらみの念がこもっているように感じられたから。
そんなに不快か。なら、買わなければいい。
関わらなければいい。
ツイッターの告知アカウントを見るのが嫌ならブロックすればいい。ミュートすればいい。
あらゆるツールを駆使して、見なければいいのだ。
なぜ、不快な物を作ろうとしている張本人に関わろうとするのだ。
私にはそれが本当に分からない。理解もしたくない。
君が不快だと思うことは否定はしない。気持ちは分からないが、私にも不快だと思うことはあるからだ。誰だってそうだと思うからだ。
でも、じゃあ、執筆者に文句があるなら自分で作ればいいだけの話だ。
今時世の中にいろんなジャンルの色んなアンソロが出ている中で、
主催が字書き、絵描きじゃないアンソロなんてごまんとあるので
書き手じゃないから企画ができないなんて言い訳はきかないぞ。
自分の納得する執筆者で、自分の納得する一番の形で、自分の好きなアンソロジーを出せばいい。
それを、私がとやかく言う権利は全く無いからだ。
それがABのアンソロジーだったら私はさらに嬉しいが、それは置いておく。
まあ、件の私主催AB神アンソロジーがその後どうなったかと言うと、無事発行できた。
作業期間中、メールで色々誹謗中傷を受けたりもしたけど、(私、嫌われすぎだろ)
アンソロジー実物を見たらどうでもよくなった。もはや私の口からはアンソロジーを前にして「神…」しか言えなかった。
イベント当日、執筆者さんからも買い専の人達からも「ずっと楽しみにしていました」とか「おめでとうございます、元気なアンソロジーですね」とか、本当にたくさんの嬉しい神お言葉を頂いた。
イベント中、直接文句を言ってきた人は誰一人としていなかった。
所詮私は小心者なので、直接イカついムキムキのおっちゃんとか来られたら自スペで漏らす自信しかないから来ないで欲しいが、
大量に来た文句のメールと反比例するように、誰も来なかった。
まあ、うん。そんなもんなんだろうな。お疲れ様です。
文句を言うのは簡単だしスッキリするかもしれないが、
そこから得られるメリットは悲しきかな、少ないのが大半だと思う。
私に文句を言っても、アンソロジーは発行されるし、こんなはてなブログでネタにされたりする。絶対やめたほうがいい。私はそう思う。
私は人に文句を言うよりも、ABを描いていたほうが心が安定するから、これからも書き続けるだろう。
文句を言ってきた人は自分でアンソロジーや企画を立ててみたらいいのにな。
楽しさに気付けたら、いい意味で周りが気にならなくなるかもしれない。
気に食わないのなら自分で作るのだ。
自分が好きで作ったものが法に触れていないかぎりは、
文句を言う権利なんて誰にも無いんだから。